バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、自社で扱う商品やサービスが誕生する過程において、商品価値を生み出すポイントを分析するマーケティング手法になります。企業を運営する場合に、支援活動と呼ばれる区分の業種と、主活動と呼ばれる区分の業種に分かれてきます。支援活動とは、給与管理、人事管理、技術管理、調達管理、営業管理といったバックヤード的な業務です。主活動については、業種業態によって異なってくるのですが、商品企画、仕入れ、店舗運営、営業、集客、販売、アフターケアーなどが該当してきます。バリューチェーンとは、企業や商品、サービスを成立させるために、連鎖している業務のつながりであり、バリューチェーン分析とは、各バリューチェーンに関わるコスト、強み、弱みを把握して、経営資源の捻出を行うことです。

バリューチェーンの把握

バリューチェーン分析においてまず始めに行う事は、自社のバリューチェーンを把握するということです。バリューチェーンは、主活動と支援活動の二種類に分類され、それぞれのバリューチェーンにおいて、商品やサービス価値を生み出すにあたって直接的に貢献している要素と間接的に支援している要素を分類します。

主活動の把握

主活動とは、商品やサービス価値を生み出すにあたって直接的に貢献している要素になります。主活動は業種業態によって、変わってくる内容となるので、代表的なものについて例を記載します。

小売業

大手百貨店から、街の小売雑貨店など、街に店舗を構え、モノを仕入れて、販売する業態が小売業になります。小売業の主活動にあたるバリューチェーンは、以下の通りとなります。

  1. 商品企画
  2. 仕入れ
  3. 店舗運営
  4. 集客(営業)
  5. 販売
  6. アフターサービス

飲食業

レストラン、バー、居酒屋経営など、街に店舗を構え、モノを仕入れて、調理して販売する業態が飲食業になります。飲食業の主活動にあたるバリューチェーンは、以下の通りとなります。

  1. メニュー企画
  2. 仕入れ
  3. 店舗運営
  4. 集客(営業)
  5. 販売

不動産売買仲介

不動産売買仲介は、賃貸物件の提供や、マンション、一戸建てなどを販売する街の不動産会社が該当します。

  1. レインズなどを活用した不動産売買情報の収集
  2. 物件調査、価格査定
  3. 営業
  4. 売買契約の仲介
  5. 物件引渡し
  6. アフターサービス

不動産オーナー事業

不動産オーナー事業は、不動産物件を自ら保有し、入居者に対して部屋を提供していくといった事業になります。

  1. 用地取得
  2. 事業企画策定
  3. 不動産開発
  4. 販売賃貸
  5. 保守管理

支援活動の把握

支援活動とは、商品やサービス価値を生み出すにあたって間接的に貢献している要素になります。企業でいうところの総務部門で行っているような以下の業務が支援活動のバリューチェーンに該当してきます。

  1. 全般管理
  2. 人事、労務管理
  3. 技術開発
  4. 調達活動

バリューチェーンレイヤーごとのコストの分析

自社の主活動と支援活動のバリューチェーンを明らかにすることができたら、バリューチェーンの各レイヤーにおいてかかってくる月間や年間のコストを明らかにします。各レイヤーでかかっている費用を明確化することによって、どこに無駄があるのか?など、収益向上に直結する無駄な部分を浮き彫りにする事ができます。またコストを把握する際には、まずは月単位、年単位ぐらいの規模で見て、特に費用がかかっているレイヤーを見つけてから、かかっているコストの内容について深堀りしていくのがおすすめです。

飲食店のコスト分析表の例

飲食店であれば、以下のような表を作ってバリューチェーンレイヤーごとのコスト比較を行います。

主活動

年間費用 担当部署
メニュー企画 800万円 企画部門
仕入れ 5000万円 仕入部門
店舗運営 1500万円 企画部門
集客(営業) 500万円 営業部門
販売 800万円 営業部門

支援活動

年間費用 担当部署
全般管理 2000万円 総務部門
人事、労務管理 4000万円 総務部門
技術開発 2000万円 技術部門
調達活動 1000万円 仕入部門

バリューチェーンの強みを分析

バリューチェーンごとのコストが算出する事ができたら、自社の強みを分析していきます。自社の強みをまとめる際には、様々な視点で感じる小さな事から大きな事まで洗い出して情報収集するのが大切です。

バリューチェーンのVRIO分析

最後にバリューチェーンをVRIO(ヴェリオ)分析にかけます。VRIO(ヴェリオ)分析とは、経営資源の競争優位性分析になります。VRIO(ヴェリオ)とは、以下の言葉の頭文字を組み合わせた文字列となっています。

  • Value(価値):経営資源は経営目標の達成に有効か?
  • Rareness(希少性):経営資源に希少性はあるか?
  • Imitability(模倣可能性):経営資源はマネされにくいか?
  • Organization(組織):経営資源を最大限に活かすことができる組織作りができているか?

競争力があるバリューチェーンレイヤーを明らかにする

バリューチェーンのVRIO分析を行うことによって、自社の競争優位性が関連部門単位で可視化させることができます。具体的には以下のような検討分析を行い、情報収集することによって、自社の強みである競争優位性を生かした事業運営を行っていくことができます。

バリューチェーン分析から導き出された改善例

  • 商品やサービスに提供価値が無いのであれば、思い切って提供をやめる。
  • 商品の希少性が無いのであれば、オリジナリティやプレミアム感を高める。
  • 模倣される可能性が高い商品があれば、宣伝効果の部分を高める。
  • 年間にかかっているコストが高いのにも関わらず生産性が悪い組織は、他の部署との統合を検討する。

開業時の情報収集に関する関連情報

開業や新商品やサービス開発を行う際、どのような情報を収集して整理していったらよいのか分からない場合は、マーケティングの手法にのっとってまとめていくのが効率的な方法です。以下のページでは、開業や店舗経営などを行う際に必要となってくる情報収集において、どのような情報を収集すればよいのかについて、マーケティング手法別にまとめています。

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